インボイス制度が始まるのは分かったけど結局何をすれば良いのか分からない。
そんな方も多いのではないでしょうか。
今回は売り手としての留意点、買い手としての留意点をそれぞれ見ていきたいと思います。
自分側がインボイス制度に対応しているか否かで影響を受けるのが自分ではなく取引先。
売り手としての影響、買い手としての影響をそれぞれ考えないといけない。
この辺りが混乱するポイントのように感じますので整理してみましょう。
その前にインボイス制度の概要が良く分かっていないという方は前回の記事から読んでいただくことをお勧めします。
インボイス制度における売り手の留意点
売り手の立場として課される義務は原則として以下のものがあります。
- 取引先の求めに応じて適格請求書を交付する義務があります。
- 返品、値引きなどの際に適格返還請求書を交付する義務があります。
※適格請求書は相手からの求めに応じて交付するのに対して、適格返還請求書は求めの有無に関わらず交付義務があります。 - 交付した適格請求書に誤りがあった場合、修正した適格請求書を交付する義務があります。
- 交付した適格請求書を保存する義務があります
このように聞くと堅苦しく聞こえますが、要は取引先に正しい適格請求書を交付し、自分でも保管しておくという事です。
つまり売り手として留意しなければならない事は登録事業者として登録を行い、請求書に登録番号などの必要事項を記載し、適格請求書の要件を満たした書類を相手側に交付する事となります。
インボイス制度における買い手の留意点
次に買い手としての仕入税額控除を適用するための要件を見ていきます。
帳簿については保存する事が求められますがこれまでと変わりませんので割愛します。
大きく変更されたのが「適格請求書等の保存要件」です。
つまり、支払い先の相手から交付された適格請求書を保存しておかなければなりません。
当然ですが相手からの交付された請求書等が適格請求書等に該当していなければ、保存するしない以前の話となりますので相手先が対応しているかどうかがポイントになります。
したがって買い手として仕入税額控除を行うために留意すべき点は支払い先がインボイス制度に対応している(登録事業者)かどうか、という点になります。
そして登録事業者としてインボイス制度に対応するかどうか判断が付かない取引先がいる場合は、どのようにお付き合いしていくのか検討しておく必要があります。※一方的な要求はNGです。
取引先の登録の有無についての背景は前回の記事を参照下さい。免税事業者の場合は登録しない選択もあり得ます。
また、支払いの多くに影響するため従業員への周知も必要となります。
何も知らずにインボイス制度に対応していないところから買ってきて領収書を持ってきてもその分は仕入税額控除が出来ない事になってしまいます。
それぞれの立場ごとに留意点を整理して考えるとシンプル
インボイス制度!?と全体像だけでは何をすれば良いか混乱しがちですが、売り手、買い手それぞれの立場ごとに整理して見ると留意点としては少ないです。
売り手の留意点
①登録事業者として登録し、きちんと適格請求書の要件を満たした書類を相手側に交付する。
買い手の留意点
①仕入税額控除を行うためには適格請求書等の交付を受けなければならない。
②インボイス制度に対応しない(又は不明)な取引先との対応について検討する。
③従業員への周知
買い手の留意点は相手先の登録の有無に依存してしまうので、対応が難しいです。
また、相手が登録しないからと言ってこちらが負担する事になる消費税分の値下げや取引の打ち切り等、一方的な要求をしてしまうのは下請法などの観点からNGとなります。
価格交渉などきちんとした話し合いでお互い合意の上でなければいけませんのでお気をつけ下さい。
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