取引先がインボイス制度に対応していないと、その分余分に消費税を払わなければならないので、取引先が登録事業者となっているのか、なるつもりがあるのか事前に確認したいことと思います。
過去記事:インボイス制度について分かりやすく解説!フリーランスの私にも影響ある?
今回は実務的な観点として取引先が登録事業者となってインボイス制度に対応しているのかどうかを確認する方法についてというテーマです。
取引先のインボイス制度対応の有無を確認する具体的な方法
具体的な確認方法は2つ。
①登録番号を書面でお尋ねする
インボイス制度に対応しないというのは売上が1,000千万以下もしくは制度そのものを理解していない場合なので、遠回しに売上1,000千万超えていますか?と聞いているようで、そんな事は聞きにくい。と感じる方も多いと思います。
そこで実践的なものとして、インボイス制度対応の有無についてのお尋ねを書面を送るという方法があります。
書面であれば事務的に全ての取引先に送ってます感が出るのでピンポイントであなた売上1,000千万超えてますか?と聞かれてるようには感じにくいと思います。
内容としてはインボイス制度の開始が予定され、適格請求書等の保存が必要になる旨などを概要として登録番号をお尋ねする文書で、これは日本加工食品卸協会が文書を公開しているので参考にされるのも一つの方法です。
公開されている文書はこちらの登録番号を通知するので、御社の登録番号も教えて下さいという形になっていますが、実際のところ、相手からすると売り先の登録番号は不要ですし、番号も法人であればT+法人番号となるのであえて通知する必要も番号を聞く必要もないのですが、名前を聞く前に名乗る的な実に日本人らしい方法だと思います。
②登録番号から国税庁のサイトで確認する
国税庁のサイトで登録番号から相手が登録しているかどうか知ることが出来きるので検索して調べることができます。
相手が法人であればT +法人番号が登録番号となるので、法人番号が分かれば相手が登録事業者となっているかどうか検索することができます。
法人番号が分からない番号も別の法人番号検索サイトで検索できます。
ただし、1番対応が分かれそうな個人事業主の場合は登録番号が予測できず、この方法では取引するまで検索できないという問題点がありますし、取引した後でインボイスに対応していなかった。と分かるケースもあります。
現実的な確認方法
1番現実的(安全)な方法は、明らかに消費税が課税事業者という取引先を除き、不明瞭な取引先は法人・個人関係無しに文書でお尋ねし、回答が返ってきたものに関して国税庁のサイトで確認するのが良いでしょう。
何故、わざわざ確認をする必要があるかというと、相手が制度を正しく理解していない場合に次のようなリスクがあります。
そのリスクとは、制度上法人の場合は登録した時の番号がすでに決まっている(法人番号として付与されている)ので、登録が必要な事を理解せず、登録番号はT +法人番号という事だけを知っていた場合、登録していない状態で番号だけを記載して回答が来る可能性が0ではありません。
個人事業主の場合は聞かないと番号の予測も立たないので聞くしかありません。聞いてからがスタートとなります。
可能性は低いと思いますが、適当に番号を入れてきたり、T+マイナンバーを記載しているなど様々な可能性は考えられるのでやはり確認は必要でしょう。
回答された登録番号を確認する必要がある理由
先方が番号を伝えてきたならそれで良いのでは?と思われるかもしれません。
ここは重要な注意点ですが、善意の買い手が、他の人の登録番号を使うなど偽造したインボイスの交付を受けて仕入税額控除を行った場合、本人確認を尽くしたことにはならず控除が認められないという見解が国税庁のHPに記載されています。
インボイス制度導入後の是正に関する一考察-適格請求書類似書類等の交付禁止・罰則規定を踏まえて-
端的に言うと「相手が故意に架空の登録番号を記載していたとしても確認していないこちらにも非があるので消費税の計算上控除できません」という事になります。
この事から、取引先が回答してきたからOK!ではなく自分で確認する必要があります。
後から消費税の計算上控除が出来ないとなると負担は相当なものです。
元々私は、インボイス制度は反対です。
毎回確認しなくてはいけない事務負担の増加を考慮せず、「免税事業者の益税部分を解消できれば負担するのは取引先の課税事業者だろうと誰だろうと構わない」というインボイス制度自体の姿勢が顕著にでるこの部分は特に腑に落ちません。
と言っても、確認しないと大きな痛手を負う可能性がある以上、確認作業をワークフローに組み込む必要があるでしょう。
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