キャッシュレス化も浸透し、交通系ICカードや電子マネーを利用する機会が増えているのではないでしょうか。
今回はフリーランスの方が電子マネーを利用する場合の経理処理について間違いやすいポイントも踏まえ、実務的におススメな処理方法までまとめてみました。
電子マネーはチャージして利用時に支払うという流れはどれも一緒なので、具体例としてSuicaなどの交通系ICカードを題材とします。
電子マネー(Suicaなど)で支払った場合の正しい処理
本来の正しい処理としては、チャージした時は「仮払金」などで処理します。
そして実際に使った段階で「旅費交通費」として処理します。
【仕訳】
1,000円チャージ時:仮払金1,000/現金1,000
100円利用時:旅費交通費100/仮払金100
間違いやすいポイントとして、このチャージした段階で「旅費交通費」になると勘違いしてしまう方も多いようです。
確かにチャージする時に手元からお金を支払うので錯覚してしまうかもしれませんが、厳密に言えばチャージは単なるお金の移動にすぎません。
あくまで実際に改札を通る時などが支払のタイミングとなります。
ただ、チャージの度に仮払金として処理をして使用の度に旅費交通費に振り返る…なんだかとても面倒です。
もっと簡単にできる方法はないのでしょうか?という事で簡便法があります。
電子マネー(Suicaなど)で支払った場合の簡便法
これは使用目的を一つに絞ってそのために使う場合に可能な方法です。
Suicaを交通費(旅費交通費)のみとして使う。などです。
チャージの時に「旅費交通費」として処理してしまいます。
【仕訳】
1,000円チャージ時:旅費交通費1,000/現金1,000
100円利用時:仕訳無し
あくまでこれは簡便法なので、別で交通費の明細書など記録が必要な事と決算時は未使用分を貯蔵品に振り返る必要がある点がデメリットと言えるかもしれません。
【決算時仕訳】
900円残高がある:貯蔵品900/旅費交通費900
決算までで仕訳を合算すると1,000円の支払が旅費交通費100円と貯蔵品(残高900円)となります。
確かに正しい方法よりは簡単になりましたが明細も必要ですし残高管理も面倒ですよね。
実務上フリーランスにおススメの処理
これはSuicaなどの交通系ICカードや電子マネーに限らず、現金科目全体としての話になります。
正しい方法であっても簡便法であっても、現金科目が動いているので帳簿上の残高と実際の現金残高を合わせる必要があります。
そこで、科目は「現金」ではなく「事業主借」又は「事業主貸」を使います。
この「事業主借」又は「事業主貸」は事業主から借りた又は貸したという事で、事業主の財布から入出金があったイメージです。
この科目は決算の時に元入金という科目(個人の元手)に集約されるので残高を合わせる必要が無いのです。
こうする事で、実際現金はもちろんSuicaなどのICカードや電子マネーでも使った時だけ「現金」ではなく「事業主借」で処理をして、かつ簡便法の方に残高管理をする必要が無くなります。
飲食店のような現金売上があると使えませんが、フリーランスの方であればこの方法で処理できる方も多いと思います。
現金残高を合わせる手間が無くなり、かつICカードや電子マネーも使った時だけ処理をするというシンプルで分かりやすいおススメの方法です。
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