売上300万円以下の副業は令和4年分から雑所得とする方向性の通達改正案が出されました。
今回は事業所得と雑所得の違いから、どんな人にどんな影響があるのかという点について解説します。
この件に対し増税、サラリーマン副業潰しなどの声を聞きますが果たしてどうなんでしょう?
副業は事業所得?雑所得?売上300万円が一つの基準
![](https://www.zeirishi-g.com/wp-content/uploads/2022/08/1dd09746cc7a8bf2c7411fcbfae88d5d.png)
という事ですが、今回の件は赤で囲った部分となります。記載されているように主たる所得で無いものは売上が300万円を超えるかどうかが一つの基準となります。
つまり本業にサラリーマンとして給与収入があり、副業売上(主たる所得ではない)が300万円以下の場合などは原則として雑所得として扱われるという事になります。
今回の改正がどんな方に影響があるのかと言うと、これまで副業収入を事業所得として申告していた方に影響があるでしょう。
副業を雑所得として扱う事によって何が変わる?
今回の件は、副業の収入を事業所得として申告するか、雑所得として申告するかという点に注目されています。
事業所得と雑所得で今回に影響する部分で何が違うのか整理してみましょう。
※主だったものだけご紹介
事業所得
①青色申告をする事で最大65万円の控除が受けられます。
②赤字の場合、他の所得(給与所得など)と相殺できます。
雑所得
事業所得の①、②のような制度はありません。
つまり、これまで副業を事業所得として申告していた場合
副業の所得がプラスの場合は65万の控除を受け、マイナスの場合は他の所得と相殺することが出来ていた…というより、そうしていてもお咎めを受けていなかったと言うべきでしょうか。(それについては後ほど解説します)
結局のところ今回の通達改正は増税なのか?
これまで事業所得としていた副業が雑所得として申告しなければいけなくなり、65万円の控除、赤字の相殺などが出来なくなるのは実質増税だ。サラリーマン副業潰しだ。
そんな声がネット上に上がっています。果たしてそうなんでしょうか?
私はそうは思いません。
それは何故かと言うと税務上、事業所得に該当するかどうかは以下のような様々な基準で総合的に勘案します。
・営利性がある
・独立して営まれている
・反復継続している
・事業的規模
などを勘案して社会通念上、事業に該当するかどうかという考え方をします。
それに当てはめて考えた場合
サラリーマンの副業でこの基準を満たす事はそうそう無いと思います。
ましてや赤字の場合は尚更でしょう。
本業のサラリーマンとは別で、赤字の商売をしている…これを事業というには無理がありませんか?趣味(雑所得)と捉えられて致し方ないかと思います。
このように元々の事業所得の基準から判断しても本来は雑所得になるものでも、事業所得としていきすぎた節税を行なっていたにも関わらずたまたまお咎めが無く済んでいた。というのが実情です。
つまりは増税や締め上げではなく、制度の抜け穴を潜って受けていた恩恵がその抜け穴を塞がれた事により受けられなくなったというだけにすぎません。
300万円が絶対の基準ではない事に注意
事業所得に該当するか、雑所得に該当するかの判断の基礎はこれまでと変わりません。
それに追加される形で今回の改正案が加わる形になります。
つまり、300万円を超えていても事業に該当しない場合もありますし、逆に副業ではなく本業(主たる所得)になる場合は300万円に到達せずともこれしか事業を行っておらず、判定要件を満たしていれば、事業所得という扱いになるでしょう。
極端な言葉を使いますとこれまで事業所得に該当するか雑所得に該当するかの判断は「社会通念上」という個人の価値観に委ねられていた部分が大きく、そこを抜け道としていきすぎた節税が増えた事により、一つの基準を設けたという背景があるのではないでしょうか。
むしろこれまできちんと副業を真面目に雑所得として申告してきた方にとっては公平感が生まれるかもしれません。
私はインボイス制度は喰い気味で改悪!と言いたくなるのに対して、今回の事業所得と雑所得の判定基準として売上300万円ラインという一つの客観的な指標を設けた事に関してはどちらかと言えばアリかな?と思います。
コメント